ニュージーランド医療の大きな問題,ウエイティングリスト

ウエイティングリスト
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ニュージーランドで以前から大きな社会問題となっている公立病院のウエイティングリストの問題。公立病院が無料であるという事の弊害ともいえるかもしません。

この問題を知るには、まずニュージーランドの医療システムを理解する必要があります

1-1ニュージーランドの医療事情

ニュージーランドの医療システムを詳しく理解するにはニュージーランドの医療制度をご覧いただきたいのですが、大雑把にいえばプライマリケアとセカンダリケアの境目がはっきりしており、一般的には「プライマリケアを飛び越えてセカンダリケア(専門医)に診てもらうことは出来ない。」ということことが特徴です。

このプライマリケアの部分はGPが担っておりここで初期の診断をしてもらうことでせけセカンダリケア(専門医)はより自分の専門分野に集中できる制度になっています。風邪をひいても皮膚の問題でも頭が痛くてもまずGPで見てもらうという感覚は日本人にはあまり馴染みがなく最初は戸惑うかもしれませんが約70%の症状はGPで解決するという統計もあるようです。

また自分のGP(主治医)を決め、登録をして行くのが一般的なので「最初はまず自分の掛かりつけの医者に診てもらう」ことでそこの過去の履歴が残り、自分の状態にあった診断を受けることができます。もちろん登録を変更することでGP(主治医)を変えることはできますが、毎回違うGPに行くということは珍しくまた登録をしていないGPに係ると料金が高くなる場合がほとんどです。

そしてこのGPで解決しない問題や症状は紹介状を通してセカンダリケアの医者に引き継がれます。
セカンダリケアは公立病院と私立病院の二つがあります。市民権や永住権を持っている人は公立病院でのセカンダリケア、つまり専門医による検査、診察、手術とったことはは無料で利用できる一方、私立病院でのセカンダリケアは全額自己負担になりその治療費は非常に高額です。

1-2ウエイティングリストの問題

ここで問題になってきたのが紹介を受けた先の公立病院のウエイティングリストです。公立病院の引き受けには当然限度がありますが、その範囲を超えて患者が送られるため順番を待つ必要があり、その期間が非常に長く、満足した素早い治療が受けられないケースが発生、これが問題となってます。

新聞記事から見るこの問題

2016年4月に載ったウエイティングリストの問題関する新聞記事によると

  • ◎公的医療機関では35万人がが何らかの外科的治療をうけ、さらに28万の人が何らかの外科的治療/手術が必要とされている。
  • ◎しかし外科的処置が必要とされる内の11万人だけがウエイティングリストに載り、残りの17万人はリストにすら載らない。
  • ◎平均的な待ち期間は公的医療の場合177日(私立の場合77日)となっている。
  • といった興味深い内容が掲載されています。
    参照記事:Stuff/174,000 Kiwis left off surgery waiting lists, with Cantabrians and Aucklanders faring worst

    特に状況が良くないのがカンタベリーとオークランドで、ウエイティングリストに登録が必要とされる人の内、カンタベリー地区では10%がオークランド地区では8%の人がリストにすら載せられず、状態は改善されるどころか年々状況は悪くなっています。

    一方で私立病院での治療は上記のように早く診察や治療を受けることができます。過去、個別の事例を見たときに公立病院の方が早かった例がないわけではありませんが、統計でみると私立病院の方が早く治療を受けることができるのは明らかです。

    なぜ問題が起きるのか

    このウエイティングリストの問題は、医師や医療施設の不足、予算の不足などが原因といわれています。私がNZに来た約20年ほど前からすでにこの問題は出ていたのですが中々改善がすすまないどころか状況は悪くなる一方です。

    1-3医療保険との関わり

    待たずに治療を受けることが出来る私立病院の費用を保障するのがNZの医療保険で、日本の様な強制加入ではなく自分での意思で入ります。ウエイティングリストの問題もあり、NZでも非常にポピュラーになった保険です。医療が安く手に入る日本と違い、NZでは自分の身は自分で守るしかないのかもしれません。